カンプ・ノウの大逆転劇!CL決勝、ユナイテッド対バイエルン
UEFAチャンピオンズリーグ 1998/99シーズン 決勝
1999年5月26日 カンプ・ノウ
マンチェスター・ユナイテッド
GK | 01 | ピーター・ボールスロウ・シュマイケル |
Peter Boleslaw SCHMEICHEL | ||
DF | 02 | ギャリー・アレクサンダー・ネヴィル |
Gary Alexander NEVILLE | ||
DF | 03 | デニス・ジョセフ・アーウィン |
Denis Joseph IRWIN | ||
DF | 05 | ヤン・ロニー・ヨンセン |
Jean Ronny JOHNSEN | ||
DF | 06 | ヤープ・スタム |
Jaap STAM | ||
MF | 07 | デイヴィッド・ロバート・ジョセフ・ベッカム |
David Robert Joseph BECKHAM | ||
MF | 08 | ニコラス・”ニッキー”・バット |
Nicholas “Nicky” BUTT | ||
MF | 11 | ライアン・ジョゼフ・ギグス |
Ryan Joseph GIGGS | ||
MF | 15 | ラース・イェスパー・ブロムクヴィスト ▼ 67′ |
Lars Jesper BLOMQVIST | ||
FW | 09 | アンドリュー・アレクサンダー・”アンディ”・コール ▼ 81′ |
Andrew Alexander “Andy” COLE | ||
FW | 19 | ドワイト・エヴァーズリー・ヨーク |
Dwight Eversley YORKE | ||
監督 | アレクサンダー・チャップマン・”アレックス”・ファーガソン | |
Alexander Chapman “Alex” FERGUSON | ||
MF | 10 | エドワード・ポール・”テディ”・シェリンガム ▲ 67′ |
Edward Paul ”Teddy” SHERINGHAM | ||
FW | 20 | オーレ・グンナー・スールシャール ▲ 81′ |
Ole Gunnnar SOLSKÆR | ||
バイエルン・ミュンヘン
GK | 01 | オリヴァー・ロルフ・カーン |
Oliver Rolf KAHN | ||
DF | 02 | マルクス・バッベル |
Markus BABBEL | ||
DF | 04 | サミュエル・オセイ・クフォー |
Samuel Osei KUFFOUR | ||
DF | 11 | ローター・ヘルベルト・マテウス ▼ 80′ |
Lothar Herbert MATTHÄUS | ||
DF | 25 | トーマス・リンケ |
Thomas LINKE | ||
MF | 11 | シュテファン・エフェンベルグ■ |
Stefan EFFENBERG | ||
MF | 16 | イェンス・イェレミース |
Jens JEREMIES | ||
MF | 18 | ミヒャエル・タルナト |
Michael TARNAT | ||
FW | 14 | マリオ・バスラ― ▼ 87′ |
Mario BASLER | ||
FW | 19 | カルステン・ヤンカー |
Carsten JANCKER | ||
FW | 21 | アレクサンダー・ツィックラー ▼ 71′ |
Alexander ZICKLER | ||
監督 | オットマー・ヒッツフェルト | |
Ottmar HITZFELD | ||
MF | 07 | メーメット・ショル ▲ 71‘ |
Mehmet SCHOLL | ||
MF | 17 | トスルテン・フィンク ▲ 80′ |
Thorsten FINK | ||
MF | 20 | ハサン・サリハミジッチ ▲ 87′ |
Hasan SALIHAMIDZIC |
98-99シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ決勝は、イングランドのマンチェスター・ユナイテッドとドイツのバイエルン・ミュンヘンの対戦カードとなった。今現在にあってもビッグクラブ同士のまさにビッグマッチだが、レギュレーションが若干異なっている部分もあったことから、両チームの勝ち上がりから紹介したい。
当時は未だ「チャンピオン」ズリーグの名のとおり、グループステージへ無条件で参加できるのは、各リーグの前年度チャンピオンのみだった。そのため、今ではストレートインが当たり前の両チームだが、いずれも予備選2回戦からの登場となった。(イングランドはアーセナル、ドイツはカイザースラウテルンがストレートイン)
マンチェスター・ユナイテッドはŁKSウッチ(ポーランド)、バイエルンはFKオビリッチをそれぞれ順当に下し、本選出場を果たした。
グループステージで両チームは奇しくも同組(グループD)となる。グループDは、両チームの他、スペイン王者のバルセロナ、デンマーク王者のブロンビーというまさにGroup of Deathに相応しいハードな組み合わせとなった。
結果としては、バイエルンが1位、ユナイテッドが2位でグループを突破することとなるが、グループステージでの両者の対戦は2分の互角だった。
決勝トーナメントへ進出したユナイテッドは準々決勝でインテルを1勝1分、準決勝でイタリア王者ユヴェントスを1勝1分で下し決勝へ、バイエルンはカイザースとの同国対決を2勝、シェフチェンコ要するディナモキエフとの準決勝を1勝1分で突破し、同じく決勝へ辿り着いた。
準決勝の2ndレグからロイ・キーン(出場停止)に代わりギグスがスタメンへ、バイエルンは同じスタメンで臨む。
試合はいきなり動く。
ディフェンスラインの裏に抜け出したヤンカーをヨンセンが倒してバイエルンがFKを獲得。このFKをバスラ―が低い弾道でファーサイドを狙うと、シュマイケルは反応できず、バイエルンが早々に先制点を奪った。
その後はベッカムの正確なパスから何度か惜しいチャンスをユナイテッドが作り出すものの、同点ゴールを奪うまでには至らない。DFのクリアボールがコールに当たって跳ね返ったシーン、CKの流れからヨークが狙ったシーンなど、あわやの場面はあったが、スコアは動かず後半へ進む。
後半の決定機は10分、ギグスが右サイドから左足でクロスボールを送ると、バッベルと競り合いながらブロムクヴィストが左足で合わせるが、枠を超えてしまう。
28分にはバイエルンの決定機、エリア内への浮き球のパスをエフェンベルグが左足のボレーシュートを放つが、シュマイケルが両手を伸ばして何とかボールを枠から弾き出した。34分には更なる決定機。ドリブルでエリア右へボールを運んだショルがGKの位置を見てループシュート。シュマイケルは全く届かなかったが、ボールは左ポストを叩き、試合を決める2点目を奪うことはできなかった。
同点に追いつかなければならないユナイテッドも、連続でチャンスを創出。36分にバットが右サイド深くまで侵入してクロスボールを上げるものの、中央のコールには合わず。37分にはギャリー・ネヴィルのクロスをスールシャールが頭で合わせるが、カーンが横っ飛びでキャッチする。
試合終盤が近付くにつれオープンな展開となり、今度はバイエルンのチャンス。38分にはショルのミドルシュートをシュマイケル片手でセーブ。39分にはCKの流れからショルがエリア内でボールを繋ぐと、ヤンカーが強烈なバイシクルシュート。これは惜しくもクロスバーに弾かれてしまう。
どちらにゴールが入ってもおかしくない展開の中、46分にユナイテッドがCKを得ると、シュマイケルも攻撃に参加。バイエルンのクリアボールが小さくなったところをギグスが右足でシュート、そのボールをシェリンガムが右足でコースを変え、遂にユナイテッドが同点に追い付く。
劇的な同点ゴールの2分後、再びベッカムのCKをニアに飛び込んできたシェリンガムが頭で合わせる。そこに右足を出したのはスールシャール。カーンも全く反応できず、ユナイテッドがアディショナルタイムに2ゴールを奪い一気に逆転した。
試合はその直後にタイムアップ。
マンチェスター・ユナイテッドが歴史に残る奇跡的な逆転勝利で2度目のヨーロッパチャンピオンに輝いた。
なお、同点のCKを蹴るためにコーナーへ向かったベッカムが、(バイエルンの勝利が決定的であったことから)バイエルンのリボンを付けた優勝トロフィーが運ばれていくのを目にした、という話があります。
誰もがバイエルンの優勝を確信していた中の2ゴールでの逆転劇が、いかに劇的であったかを物語る逸話かと思います。